『江戸八百韻』高野幽山編。
**何踊 **
花ふんで鑪鞴うらめし暮の聲 幽山
松はしらねか年號の春 安昌
白い雉子青いかしらの山見えて 来雪
裾野の里に入崩れ有り 青雲
歩行の者それより下は草枕 言水
買喰買呑み引請て月 如流
四方の秋はつかしい事もなかりけり 一鐵
さりとは内気小萩さく宿 泰徳
白露の細かな物を見てばかり 執筆
浮へる霧の成あがりめが 山
大閣に詞たゝかひふも暮 昌
畜生塚に女顕れ 雪
胴は馬髪はから輪の立姿 雲
えしらぬ島に戀わたるらん 水
ほれらるゝ藥求めに迷ひ出 流
たはけつくして物に狂ふけ 鐵
こはざれに袂も袖もあらばこそ 徳
無理に帰るを無理留の客 昌
商ひははや成かゝり暮かゝり 山
中間手形を鴨のはねかき 雲
大博奕もう此上は小田の月 雪
役者を止て山陰の霧 流
家老衆お為淋しき松の風 水
目安はかへる須磨の浦浪 徳
時に大蛇片敷角を折らしけり 雪
上代の穴せばき岩陰 流
天の戸に相鎰もなく光なく 水
おもへば雲にぬすまれし月 徳
尺尊の齒莖の山の村紅葉 鐵
彌勒の久しき気のつきの秋 山
見よし野の吉野の奥のくらい所 昌
假の油を惜む西行 雪
實方の形見に残る鬢道具 雲
爰に橋本柿の暖簾 水
友千鳥呼捨なからのぼり行く 流
茅原の風にまめでいやれよう 鐵
耳うとき親じ計の一つ庵 徳
茶の銭爰に是爰に置 昌
頼む也南無やかるたの大明神 山
まよひ出させ給ふ欠落 雲
天皇も奉公人に様をかへ 雪
今さゝ浪や志賀や有けり 流
酢醤油小比叡の雲に行通ふ 水
杉の葉分にこぼす蒟蒻 徳
西に月いざお手水に立つしやれ 鐵
半夜の契り夢の間の秋 山
妹を置く露をとばする下り舟 昌
悪性つもつて乗物に錠 雪
花空し本復もなくおくるなり 雲
はなす飼鳥四方の囀 水
一日にも廻り盡さし庭の春 流
女中方鼻紙しほる袖の浪 雲
うらみふくみて半挿に吐 水
御前に解毒を置れたりけれは 流
見わすれぬるか佐野の玄三 鐵
其後は家もあらなく敵打 徳
普代か在所へ行ては帰り 昌
落し子や雲にまきれし遠の月 山
戀路の狐よしなやの露 雲
相槌や文巻捨る唐衣 雪
旦那さまいつ帰らしやる里 流
眞木の戸を細めに明て吹風も 水
虚勞の枕あげさする雪 徳
遣愛寺の扈従一人候ひしか 鐵
執筆の聲して瓦摺けり 山
都也と有所の竹格子 昌
半分見えし娑艶しき 雪
迦陵頻うはの空にそあこかるゝ 雲
上品上々のうつけ也秋 水
今朝の露閻浮擅金を總拂ひ 流
本田善光扶持かたの月 鐵
花はいさ先祖慥に村の松 徳
我分限をふかす春風 昌
さる後家をだまして夢を授くる 山
お経握らせて夢を授くる 雲
時に大蛇片敷角を折らしけり 雪
上代の穴せばき岩陰 流
天の戸に相鎰もなく光なく 水
おもへば雲にぬすまれし月 徳
尺尊の齒莖の山の村紅葉 鐵
彌勒の久しき気のつきの秋 山
見よし野の吉野の奥のくらい所 昌
假の油を惜む西行 雪
實方の形見に残る鬢道具 雲
爰に橋本柿の暖簾 水
友千鳥呼捨なからのぼり行く 流
茅原の風にまめでいやれよう 鐵
耳うとき親じ計の一つ庵 徳
茶の銭爰に是爰に置 昌
頼む也南無やかるたの大明神 山
まよひ出させ給ふ欠落 雲
天皇も奉公人に様をかへ 雪
今さゝ浪や志賀や有けり 流
酢醤油小比叡の雲に行通ふ 水
杉の葉分にこぼす蒟蒻 徳
西に月いざお手水に立つしやれ 鐵
半夜の契り夢の間の秋 山
妹を置く露をとばする下り舟 昌