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しほの山、さし出の磯

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しほの山、さし出の磯

○ 磯 月  雅言朝臣
   しほの山さしての磯の秋の月 八千代すむへき影そみえける
『白河殿七百首』秋 類集群従。巻第百六十五

○ 賀 歌  よみ人しらす 【成立-延喜五年(905)
   しほの山さしでの磯にすむ千鳥 君がみ代をばやちよとぞ鳴く
『古今和歌集』巻第七

○ 文保百首  忠房親王
   小夜千とり空にこそなけ塩の山 さしでの磯に波やこすらん
『新千載集』

○ 祝 五首 「建仁元年(1201)三月内宮御百首」
しほの山さし出の磯のしきなみに
千とせをいのるとも鵆哉『後鳥羽院御集』 類集群従。巻第四百二十三
○ 片 戀  後徳大寺左大臣
   波さわくさし出のいその岩ねまつかたかたにのみ袖ぬらせとや
 『夫木集』「百首御歌合」
○ 暁千鳥
   しほの山かよふ千鳥の聲すなり さしてか磯の明くれの空
 『源有房朝臣集』 有房-建長三年(1251)~元応元年(1319)
○ 日本名所千句  宗祇法師 
   友千鳥さし出の磯や暮れぬらん つるの郡に鳴きわたるこゑ
   はるばると甲斐の高根は見えかくれ 板野の小菅末なひきなり
   露にぬれ霧に分け入る小笠原 くる人うけよ酒折の神
 『宗祇法師連歌百韻』
 宗祇-生、応永二十八年(1421)~没、文亀二年(1502)

○ 千鳥を讀侍ける  権中納言長方
   おきつ汐さしでの磯の浜千鳥 風寒からし夜には友よぶ
 『玉葉和歌集』巻六 冬歌 【成立-正和元年(1312)】 京極為家撰。
 
○  権僧正公朝
   千鳥なきしほのさしての磯の松や ちよのこゑに千代の色そふ
 『夫木集』「弘安元年中務卿親王家百首」

○  隆信朝臣   (1278)
   や千代とそ千鳥なくなるしほの山 さし出の磯にあとをたつねて
 『夫木集』「文治六年女御入内御屏風」

○  左近中将經家卿   (1190)
   しほの山さし出のいその明かたに 友よふたつの聲きこゆなり
 『夫木集』「建長八年百首歌合」

○ 月前船  氏部卿為家   (1256)
   なみのうへや猶すみまさるあま小舟 さし出のいその秋の月かけ
 『夫木集』「嘉禄三年百首」

○ 夜千鳥  頓阿法師   (1227)
   夏ぬるき寒き霜夜の月影も さし出の磯にちとりなくなり
 『草庵集』【成立-延文四年(1359)頃】
 頓阿-生、正応二年(1288)~没、文中元年(1372)

○  聖護院道興法親王
 此国のしほの山さし出の磯とてならひたる名所なけれは
   春の色も一しほの山なれは 日かけさしての磯そかすめる   

○ さしての磯にて鶯のなくこゑをきゝてよめる
   はる日かけさしていそくかしほの山 たるひとけてやうくひすのなく
 『廻国雑記』
道興-文明八年(1486)六月に京都を出発する。
   道興准后。関白房嗣の子。

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