甲斐が根・甲斐のけ衣
○ 東 歌
かひかねに しろきは ゆきか いなをさの かひの けころもや
さ らす てつくりや さらす てつくりや
甲斐が根に 白き雪か いなおをさの 甲斐の褻衣 晒す手作り 『万葉集』
○ かひ歌
かひがねはさやかにも見しがけけれなく
横ほりふせるさよの中山 『古今和歌集』
【成立-延喜十三年(913)頃】
○ 布 よみ人しらす
をち方に白き花こそいなをさの
かひのてなこ(てこな)のさらすてつくり 『夫木和歌集』
○ 衣 前大納言言隆卿 1145~1151
ふり積る白根の雪はいなをさの
かひのけころもほすとみえたり 『夫木和歌集』「久安百首」
東歌
○ かひのけ衣 太宰大貳重家
月影にかひのけ衣たゝすかと
みれは白峯の雪にそありける
『夫木集』「安元元年閏九月歌合」
○ 紀貫之(延元二年/924)御屏風
かひがねの山里見ればあしたづの
命をもてる人ぞすみける
『六帖和歌集』 (868~945)
○ 順徳天皇詠 ・ ? 【成立-貞元・天文頃 976~982】
かひかねは山のすかたもうつもれて
雪のなかはにかゝる白雲
『順徳院御集』類従群集 巻四百二十四 【成立-貞永元年 1232】
○ 蓮生法師
甲斐かねははやゆき白し神無月
しくれてすくるさやの中山『続後撰和歌集』
○ 旅の歌とてよめる 大江義重
雪つもるかひの白峯をよそに見て
はるかに越るさやの中山『新千載和歌集』
○ 前中納言定家卿
かひかねに木の葉吹しく秋かせも
心の色をえやはつたふる『新拾遺集』
○ 信實朝臣
春のくる霞をみれはかひかねの
ねわたしにこそ棚引にけれ『夫木集』「建長八年(1256)百首歌合」
○ 月照山雪(かひのけころも)
太宰大弍重家卿安元元年(1175)閏九月歌合
つきかけにかひのけ衣さらすかと
みれはしらねの雪にそありける 『夫木和歌集』
○ 西国なれど、甲斐歌など謂ふ
…(貫之が土佐から京に帰任する乗船の際に)『土佐日記』 紀貫之
○ 女はじめ詠ひたる歌をふりあげつつ、甲斐歌に唄ひ行けり 『平仲物語』
甲斐、都留(重複する歌あり)
○ 甲斐の国、鶴の郡、菊花山あり。流るる水菊を洗ふ。 『風土記』
その水を飲めば、人の壽、鶴のごとし云々。
○ 雲の上に菊にほりうゑて 甲斐国の鶴の郡をうつしてぞ見る 『夫木集』十四
○ 藤原長清撰 【成立-延慶二年 1309】
かひの国つるの郡に菊おひたる山あり、その谷よりながるゝ水菊をあらふ。
これによりてその水をのむ人は命ながくしてつるのごとし。
仍て郡の名とせり、彼国風土記にみえたり。…『和歌童蒙称四』
○ 延長二年左大臣殿北方御五十賀屏風料…延長二年(924)
鶴郡但北方巳所選其事
かひかねの山里みれはあしたつの
命をもたる人そすみける 『紀貫之集』類従群集。第五
○ 関白道長 道長…生、康保三年(966)~没、万寿四年(1027)
甲斐国都留の郡の千年をば
君が為延と思ふなるべし ○ 慶賀
すへらきの君につかへて千年へん
鶴の毛衣たもとゆたかに
『朗詠題詩歌集』 類従群集。巻四百二十一
○ 東 歌
かひかねに しろきは ゆきか いなをさの かひの けころもや
さ らす てつくりや さらす てつくりや
甲斐が根に 白き雪か いなおをさの 甲斐の褻衣 晒す手作り 『万葉集』
○ かひ歌
かひがねはさやかにも見しがけけれなく
横ほりふせるさよの中山 『古今和歌集』
【成立-延喜十三年(913)頃】
○ 布 よみ人しらす
をち方に白き花こそいなをさの
かひのてなこ(てこな)のさらすてつくり 『夫木和歌集』
○ 衣 前大納言言隆卿 1145~1151
ふり積る白根の雪はいなをさの
かひのけころもほすとみえたり 『夫木和歌集』「久安百首」
東歌
○ かひのけ衣 太宰大貳重家
月影にかひのけ衣たゝすかと
みれは白峯の雪にそありける
『夫木集』「安元元年閏九月歌合」
○ 紀貫之(延元二年/924)御屏風
かひがねの山里見ればあしたづの
命をもてる人ぞすみける
『六帖和歌集』 (868~945)
○ 順徳天皇詠 ・ ? 【成立-貞元・天文頃 976~982】
かひかねは山のすかたもうつもれて
雪のなかはにかゝる白雲
『順徳院御集』類従群集 巻四百二十四 【成立-貞永元年 1232】
○ 蓮生法師
甲斐かねははやゆき白し神無月
しくれてすくるさやの中山『続後撰和歌集』
○ 旅の歌とてよめる 大江義重
雪つもるかひの白峯をよそに見て
はるかに越るさやの中山『新千載和歌集』
○ 前中納言定家卿
かひかねに木の葉吹しく秋かせも
心の色をえやはつたふる『新拾遺集』
○ 信實朝臣
春のくる霞をみれはかひかねの
ねわたしにこそ棚引にけれ『夫木集』「建長八年(1256)百首歌合」
○ 月照山雪(かひのけころも)
太宰大弍重家卿安元元年(1175)閏九月歌合
つきかけにかひのけ衣さらすかと
みれはしらねの雪にそありける 『夫木和歌集』
○ 西国なれど、甲斐歌など謂ふ
…(貫之が土佐から京に帰任する乗船の際に)『土佐日記』 紀貫之
○ 女はじめ詠ひたる歌をふりあげつつ、甲斐歌に唄ひ行けり 『平仲物語』
甲斐、都留(重複する歌あり)
○ 甲斐の国、鶴の郡、菊花山あり。流るる水菊を洗ふ。 『風土記』
その水を飲めば、人の壽、鶴のごとし云々。
○ 雲の上に菊にほりうゑて 甲斐国の鶴の郡をうつしてぞ見る 『夫木集』十四
○ 藤原長清撰 【成立-延慶二年 1309】
かひの国つるの郡に菊おひたる山あり、その谷よりながるゝ水菊をあらふ。
これによりてその水をのむ人は命ながくしてつるのごとし。
仍て郡の名とせり、彼国風土記にみえたり。…『和歌童蒙称四』
○ 延長二年左大臣殿北方御五十賀屏風料…延長二年(924)
鶴郡但北方巳所選其事
かひかねの山里みれはあしたつの
命をもたる人そすみける 『紀貫之集』類従群集。第五
○ 関白道長 道長…生、康保三年(966)~没、万寿四年(1027)
甲斐国都留の郡の千年をば
君が為延と思ふなるべし ○ 慶賀
すへらきの君につかへて千年へん
鶴の毛衣たもとゆたかに
『朗詠題詩歌集』 類従群集。巻四百二十一