甲斐のふるうた 富士を詠む
◎富士の山を詠む歌 一首并せて短歌 『万葉集』
なまよみの甲斐の国 うち寄する駿河の国とことごちの
国のみ中ゆ出で立てる 富士の高嶺は天雲もい行きはばかり
飛ぶ鳥も飛びも上るず
燃ゆる火を雪もち消ち 降る雪を火もち消ちつつ 言ひも得ず
名付けも知らずくすしくも います神かもせの海と名付けあるも
その山の堤める海ぞ 富士川と人の渡るもその山の水のたぎちぞ
日本の大和の国の鎮めとも います神かも宝ともなれる山かも
駿河なる富士の高嶺は見れど飽かぬかも
○反歌
富士の嶺に降り置く雪は 六月の十五日に消ぬれば その夜降りけり
◎山部宿禰赤人、富士の山を望る歌 一首并せて短歌
天地の 分れし時ゆ 神さびて高く貴き 駿河なる富士の高嶺を
天の原振り放け見れば 渡る日の影も隠らひ 照る月の光りも見えず
白雲もい行くはばかり 時じくぞ雪は振りける
語り継ぎ言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は
○ 反 歌
田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ 富士の高嶺に雪は降りける
◎富士の山を詠む歌 一首并せて短歌 『万葉集』
なまよみの甲斐の国 うち寄する駿河の国とことごちの
国のみ中ゆ出で立てる 富士の高嶺は天雲もい行きはばかり
飛ぶ鳥も飛びも上るず
燃ゆる火を雪もち消ち 降る雪を火もち消ちつつ 言ひも得ず
名付けも知らずくすしくも います神かもせの海と名付けあるも
その山の堤める海ぞ 富士川と人の渡るもその山の水のたぎちぞ
日本の大和の国の鎮めとも います神かも宝ともなれる山かも
駿河なる富士の高嶺は見れど飽かぬかも
○反歌
富士の嶺に降り置く雪は 六月の十五日に消ぬれば その夜降りけり
◎山部宿禰赤人、富士の山を望る歌 一首并せて短歌
天地の 分れし時ゆ 神さびて高く貴き 駿河なる富士の高嶺を
天の原振り放け見れば 渡る日の影も隠らひ 照る月の光りも見えず
白雲もい行くはばかり 時じくぞ雪は振りける
語り継ぎ言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺は
○ 反 歌
田子の浦ゆうち出でて見れば真白にぞ 富士の高嶺に雪は降りける