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武川衆山高氏 一四代、山高信吉 十五代 山高信賢  十六代、山高信禮(のぶいや)

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一四代、山高信吉
一四代信吉は信俊の嫡男で、元和三年(一六一七)の誕生で通称を新右衛門といった。正保元年(一六四四)二十八歳で将軍家光に謁し、大番に選ばれた。
親吉の父信俊も寛永十九年(一六四二)に大番に選ばれていて、山高氏と大番とは関係が深いので略説を加える。
 大番は江戸幕府の常備軍団の一で、書院番とならんで両番と呼ばれ、大番に列する老はその家柄を重んぜられ、精鋭をうたわれた、最高に名誉ある軍隊であった。この大番に信俊・信吉が所属したことは、山高家が由緒正しい武田家の支流であり、強豪をうたわれた武川衆出身であることと、無関係ではない。
 信吉は、
正保三年(一六四六)十二月産米二〇〇俵を賜わり、
寛永七年(一六三〇)六月には組頭に進み、十二月塵米二〇〇俵を加えられた。
延宝四年(一六七六)十二月父信俊の遺跡を継いで、さきに賜わった禄は収められたので、結局五〇〇石の高であった。翌五年八月五日没、六十一歳。法名自性。
妻は武川衆柳沢安忠の息女、吉保には姉に当たる女性である。
 
 
十五代 山高信賢と信禮(のぶいや)
 五代信賢は通称三左衛門、また八左衛門。
明暦二年(一六五六)に生まれ、
万治三年(一六六〇)五歳で将軍家綱に謁した。
延宝五年(一六七七)十二月遺跡をつぎ、
延宝七年(一六七九)八月、父祖と同じく大番となる。
元禄七年(一六九四)正月御小納戸の職に就いた。
三十八歳。御小納戸という役柄は若年寄に属し、将軍に近侍して理髪・臍番・庭方などの細事をつかさどるのである。
元禄十年(一六九七)七月、将軍綱吉養女八重姫の用人を命ぜられ、下総国岡田・豊田両郡の内で一、〇〇〇石加増の上、布衣を着することを許された。布衣を着するは六位の重い役人に限られたので、信賢が布衣を着することを許されたことは、六位に昇ったことを意味し、名誉なことであった。八重姫は鷹司家の息女で、元禄九年綱吉の養女となり、元禄十一年六月水戸少将徳川徳川吉孚に嫁し、延享三年(一七四六)六月に没し、養仙院殿と呼ばれた。死後、院号を改め随性院とした。
 信賢は
宝永五年(一七〇八)二月、武蔵・下総両国内で三〇〇石加増され合計一八〇〇石知行した。
敬神の念篤く、郷里山高村の氏神幸燈官を崇敬し、
正徳二年(一七一二)九月、自詠自筆の和歌一〇〇首の額と神鏡一面を同社に奉納した。
正徳三年二月二十四日、五十八歳で逝去。法名走夢。
 
十六代、山高信禮(のぶいや)
 
十六代信禮は信賢の嫡男として
延宝九年(一六八一)に生まれた。幼名兵助、通称八左衛門、道号を自得斎といった。
貞享四年(一六八七)七月、八歳の時将軍綱吉に謁した。
《註》当時同じく武川衆を祖に持つ柳沢吉保の絶頂期であった。米倉丹後守など江戸幕閣の中枢に居た。
元禄十五年(一七〇二)小姓組番士に選ばれた。小姓組は小性組とも書くが、元来屈従組で、将軍の側近に侍して警衛に当たるのが屈従の本分である。用字が難解なため、平易な小姓・小性などの当て字を用いている
が、重要な役目であることは大番・書院番と変わらない。武川衆出身ということが影響しているとみられよう。
正徳三年(一七一三)二月、父信賢が世を去ったので、同年五月晦日、遺跡を継いだ。
 信礼は弓馬の道にすぐれ、
享保七年(一七二二)十月十八日、将軍吉宗の鷹狩に供奉して武蔵、下総両国の堺隅田川を小船で渡る際、折柄芦の叢中から大空高く飛び立った一羽の菱喰(ひしくい)雁を主命のまま一箭に射落とし、将軍吉宗の感賞を蒙った。信礼は、これも山高村の氏神幸燈官の神助の賜物と、奉謝の文一章と、当時使用の弓一張を奉納した。奉謝の文にいわく、
  
征夷大将軍吉宗公、御鷹狩の供奉として弓箭を帯し、武蔵・下総の界、角田川に至り、小船に乗りて菱喰雁を射留むるの時、北風烈しく吹き、浪高し。神徳に依らずんば、如何ぞ豊に利有ることを得んや。其後殿中に於いて褒美として服三領、これを下し賜わる。徹感骨髄に応うるの余り、微志を記してこれを納め詰んぬ。
 
と。文も意をつくしている。
信礼は弓のほか、
享保七年(一七二二)十月に南京の瓶子二対、輪子の中旗八旗、
享保八年(一七二三)三月に内陣帷を奉納している。
 
信禮は、
享保八年(一七二三)三月、多年職務精励の賞として黄金一枚を賜わり、
享保二十年(一七三六)十二月、布衣着用を許された。
寛保三年(一七四三)閏四月には鉄地頭に進み、
延享元年(一七四四)十一月二十日致任した。
功により養老料米三〇〇俵を賜わった。
寛延元年(一七四八)四月二十四日逝去。七十歳。法名「仕候」。

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