- 破風 ( はふ )口 ( くち )に日かげやよはる夕すゞみ 芭蕉
- 煮レバレ茶ヲ蝿避レ烟ヲ 素堂
- 合歓醒ム二馬上ニ一 素堂
- かさなる小田の水落すなり 芭蕉
- 月代 ( しろ )見ル二金気ヲ一 素堂
- 露繁ケテ添フ二玉涎ク一 素堂
- 張旭がもの書きなぐる醉の中 芭蕉
- 幢 ( とばり )を左右に分るむら竹 芭蕉
- 挈テレ箒ク驅ル二偸鼠ヲ一 素堂
- ふるきみやこに残る御霊屋 ( たまや ) 芭蕉
- くろからぬ首かき立る柘 ( つげ )の撥 ( ばち ) 芭蕉
- 乳をのむ膝に何を夢みる 芭蕉
- 舟ハ鈞 ( ゆるく )風早ノ浦 素堂
- 鐘ハ絶ツ日高川 素堂
- 顔ばかり早苗の泥によごされて 芭蕉
- めしは煤けぬ蚊やり火の影 芭蕉
- 詑ハ教メシム二三社ヲ一本 ( なら ) 素堂
- 韻使メス五車ヲ一塤 ( いしつえと ) 素堂
- 花月丈山閙 ( さわが )シ 素堂
- 篠を杖つく老のうぐひす 芭蕉
- 剪テレ吟ヲ鮎一寸 素堂
- 箕面の瀧の玉む簸らん 芭蕉
- 朝日かげかしらの鉦をかがやし 芭蕉
- 風飧唯早乾 ( かわく ) 素堂
- よられつる黍 ( きび )の葉あつく秋立て 素堂
- 内は火ともす庭の夕月 芭蕉
- 霧ノ籬顔孰與 ( いつれ ) 素堂
- ■ ( しぐれの )浦目ハ潜焉 ( なみだぐむ ) 芭蕉
- 蒲団着て其夜に似たる鶏の聲 素堂
- わすれぬ旅の数珠と脇指 芭蕉
- 山伏ハ山平地 素堂
- 番門小天 素堂
- 鷦鷯窺二水鉢ヲ一 芭蕉
- 霜の曇りて明る雲やけ 素堂
- 興深き初瀬の舞臺に花を見て 芭蕉
- 臨レテ谷ヲ伴フ二蛙仙ニ一 素堂
元禄五年八月八日終