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私の名付けた五大蛋白源

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私の名付けた五大蛋白源
郷土の料理に関しての資料紹介
(「ひじろ端から」長野県富士見町商工会婦人部編集 著者名省略)

 昭和二十五年頃までの、私の家の食べ物の事を思い返して見ると、何処の家でも似たようなものを食べていたから、私はこれを自己流に、農家の五大蛋白源だの、二大カルシュウム源と名付けました。
<蛋白源>
○蛋白源其の一 鶏
 鶏は毎日、一つずつ卵を生んでくれます。卵は煮たり焼いたりいろいろに使われるけれど、朝いそがしく学校へ行く前、生卵にお醤油を混ぜた卵御飯をサラサラ食べるのと、生卵に小さい穴を開けて、ツーと吸うのは面白かった。
 卵を生まなくなった親鳥はつぶす。肉はもちろん骨も金槌や舵の背で、よくたたいてまるめ、肉だんごにして、お吸い物や、お雑煮のだしにする。お正月は四つ足の肉は食べるものではないと言われていたから、正月にはなくてはならない御馳走でした。

○蛋白源其の二 兎
 暮になると家毎に兎殺しがまわって釆て、春から一年間飼った兎を、二、三羽殺して貰う。殺し賃に皮をやる。皮を家で欲しい時は五十円ぐらいお金を払った。
 皮は板に張って乾かし、なめして貰うとチャンチャンコの裏へ付けた。
 殺した兎は足を縛って、庭へ吊しておくと、凍って天然の冷凍庫がわりで、お正月から節分頃まで使った。兎は四つ足だけれど、一羽二羽と数えるから鳥と同じように考える。

○蛋白源其の三 鯉
 田植後、田へ放した鯉を、軋の水を切る時とって食べるが、おおかたは、池に放して置いて、おきゃくの時に御馳走する。尾頭つきの鯉の煮付けは最高級の御馳走である。

○蛋白源其の四 どじょう
秋上りに、田圃のせんぎの泥上げをして、ピチピチはねるどじょうをとる。また糠を炒って袋に入れ竹で編んだ簡状の籠に入れて田岡のぬるめにふせておき、二晩ぐらいして上げる。沢山とれて、卵とじにして食べる。柳川なべは、男衆の寄合いの酒の肴に一番である。

○蛋白源其の五  かに
 お正月頃から節分頃の寒い間、清水の出る所へ行き石を上げてとる塩で炒って真赤なカニを食べる。ポリポリとお茶の子や酒の肴にいい

<カルシュウム源>
○其の一 山羊の乳
 子をとった後、上手に、毎日しぼれば二年余り楽しめます。
 少し臭いけれど、甘味があって、濃い山羊の乳を飲みつけると、買った牛乳なんか飲めません。
一日一升の上出るので、飲むばかりでなく、天寄せに入れたり、飲みきれなくて、近所へ配ったりしました。
○カルシュウム源其の二 いなご
 親が稲刈りしているそばで、子供はいなごとり、秋沢山とったいなごは、水あめを入れてあめ炊きにしておくと、春先迄楽しめる。

○蛋白質源番外  麻種(おたね)
 今は絶対に食べられない、なつかしいもので炒って砂糖を入れて麻種(おたね)味噌にして食べます。
 遠足や運動会には前日に作っておむすびにぬってもらいました。

旬の食べ物
郷土の料理に関しての資料紹介
(「ひじろ端から」長野県富士見町商工会婦人部編集 著者名省略)

長い冬の寒さもやわらぎ、雪がとけだすとその下からは早や、フキノトウが頭を持ち上げ、わき水や小川のみぞ、山の田んぼの湿地には、セリが伸び始めています。
 早春から、我が古里富士見は、山菜の宝庫です。フキノトウ、セリ、ナズナ、コゴミ、木ノ芽、うこぎ、ゼンマイ、みね葉、アヅキッパ等々数多くの山菜が、三月から六月にかけて一斉に芽を吹き、独特の風味や、特長のある味わいを楽しませ、食卓をにぎわしてくれます。
 フキノトウ(がんぼぢとも言う) は油味噌、酢の物、天ぶらと特有の苦味を生かす料理が有り、フキ味噌、山椒味噌等、保存用として作る家もありました。川魚の塩やきや、やっこ豆腐にのせたり、お料理の付け合せに使いました。
 コゴミは山菜の中で一番成長が早く、数日で期間が終ってしまうので、珍重がられ茹でて浸し物、ゴマ和え、卵とじ等にします。
 ワラビはアクが強いので、昔は灰で今は重曹を入れて茹でて、アク抜きをし調理しますが、保存用は、さっと茹でて塩分を濃くして浮上がらないように重石をして漬けておきます。昔はワラビ御飯にしてたべました。
 山うどは山で採りたてに、生味噌をつけて食べると、口一杯にプウンと香りが広がり美味しかった。家まで背負って来るとアクが出て、にがくなっていた。酢の物、煮物にし辛先を天ぶらにすると、たらの芽のようでした。保存用にはワラビと同様にします。
 アクの強い山菜は、長期漬けて保存して置いても調理すると、また特有の風味がふしぎと生きてきます。現在は、冷凍保存する山菜も多くなりましたが、風味の方は少ないように思えます。
 田んぼの土手、畑のまわりに、もち草が一斉に芽を出し始めました。日当りの良い所は、一段と伸びて大きくなっています。困りの葉をのこし、柔らかい所を摘みとり、ビク一杯指先がまっ黒になっても気にせず、せっせと摘みます。「ビク一ばいとっても、うでるとちっとになるで-、たんと採ってこい」と、ばあちゃんに言われたっけ。ゴミを入れないよう、上手に採っていると、つくしんぼうが出ている。一本二本と抜いて集めているうらに、つくしんぼう採りに夢中になってしまう。でも、子供たちは、遊び乍ら、摘み草も楽しんでいるのです。
 もち草はうでてあく抜きし、すぐ革もちについてもらったり、沢山採れた時は、うでて干し、保存して置いて、年じゅうその草でおもちをついて食べた。
 小さい頃から、摘み草をしたり、山菜とりをし乍ら、山の草花の名前を知ったり、食べ万や保存方法なども、知らず知らずのうちに憶えていったのでした。
 ふきもワラビと並んで山菜の双壁をなすもので、田植上りに一背負も採って漬けます。特に西山のふきはにがみが少なくみずみずしくおいしい。春漬けて来年の田植の御馳走にするほど沢山漬けておきます。田圃の土手でとれるふきはキャラブキにします。特に水アメを入れると、お正月頃迄保存がききます。

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