冷や飯はまずい
佐伯誠一氏著『不思議いっぱい科学の本』おもしろ科学なるほど200話より
おなじご飯でありながら、炊きたてはおいしいのに、冷たくなるとおいしくない。それには、つぎのような理由がある。
米でも麦でもイモでも、主に澱粉でできているが、この澱粉には二つの種類がある。消化の良いものと悪いもので、消化の良いほうをアルファ型、悪いほうをベータ型と呼んでいる。
ベータ澱粉は、生の澱粉で、味が悪く、消化もよくない。生のジャガイモは食べてもまずいし、生米を食べると、おなかをこわすのは、ベータ澱粉のせいだ。
ところが、ベータ澱粉に水を加えて煮ると、昧もよく消化がよいアルファ澱粉に変わる。米やイモや麦を、一度火にかけて食べるのは、アルファ澱粉にして食べるためだ。
だが、アルファ澱粉は、冷えると、ベータ澱粉にもどってしまう。
もちろん、外から見たところは米にもどらないが、中の澱粉は米と同じベータ澱粉にもどっている。冷や飯がまずくて、消化によくないのは、このためである。
ところで、アルファ澱粉を熱いときに乾燥すると、もうベータにもどらない。そのまま食べても消化がよく、火を加えるとよくふくれる。
せんべい、ビスケットなどはこうして作ったもので、冷たいまま食べてもおいしい。これは、せんべいやビスケットの澱粉が、アルファ澱粉のまま残っているからだ。