うなぎと梅干(食べ合わせ)
佐伯誠一氏著『不思議いっぱい科学の本』おもしろ科学なるほど200話より
ウナギと梅干し、トウモロコシとハマグリ、カニと氷水、タコと柿、天ぷらとスイカなどさまざまな種類の食べ合わせが、昔から伝えられている。
しかし、今日の研究では、食べ合わせに科学的な根拠はない。
ウナギと梅干しを朝、畳、晩三食三日間食べつづけて実験した人があるが、最後の夕食後もケロリとしていた。
薬には配合禁忌といって、混ぜると毒のものがあるが、食べ物には、食べ合わせで毒を生じるということはない。
ただ、食べ合わせといわれるものの中に、消化によくないものがある。
たとえば、トウモロコシとハマグリはどちらも消化が悪いものだし、カニは傷みやすく、氷水は腹を冷やす。
だから、これらを組み合わせて食べるときは、腹痛や下痢を起こさないように注意しなくてはならない。
健康なからだに食べ合わせは通じないかも知れないが、体調をこわしたときなどは、食べ合わせがてきめんにひびくことがある。
〝食べ合わせ〟は、「消化の悪い食べ物はなるだけ用心して食べるように」
という昔の人の食品衛生についての一つの知恵である。