【中村 内蔵助】なかむら くらのすけ
『別冊歴史読本』江戸人物ものしり事典 伝記シリーズ 昭和54年 一部加筆
寛文九年(一六六九)、京都の銀座商人の家に生まれる。九郎右衛門と称し、みずから藤原信盈と名のった。
銀座役人は、幕府の通貨の銀を鋳造するたびに歩一という手数料を入手したが、この利得が大きかった。内蔵助は、とくに元禄八年(一六九五)から行なわれた金銀改鋳によって、急速に巨利をおさめた。元禄十二年には銀座年寄役に進み、さらに江戸在番もつとめた。下立売室町に方一町の豪邸をもうけ、その豪著な生活をうたわれた。元禄の後期、東山の衣裳くらべで彼の妻女が雪のような白無垢の上に黒羽二重の打掛姿で人々を圧倒した話は多くの人を驚かせた。
正徳四年(一七一四)、銀座役人の不正が咎められ関所追放となり享保十五年(一七三〇)に没した。享年六十三歳。