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参考資料 貞門俳諧と連歌 

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参考資料 貞門俳諧と連歌
 俳諧は連歌の派生体で、滑稽あるいは戯れなどと称されている。室町時代の歌学者頓阿は歌学書「井蛙抄」で「俊成卿の和歌肝要に俳諧歌は狂歌なり云々」と述べ、同中期の歌人で連歌師の心敬は歌道と仏道を一体化する歌論を展開し、同末期の連歌師飯尾宗舐は心敬に学んで連歌を大成させ、その高弟宗長は一休禅師に参禅し、師の旅に随伴して各地を遍歴。同後期の連歌師山崎宗鑑は宮仕えから隠棲して、機知滑稽を主とする俳諧の連歌を作り初め、年齢的には後輩の伊勢宮の神官・荒木田守武(和歌・連歌を良くして滑稽の中にも上品さを湛え、俳諧の連歌を唱える)と共に俳諧の祖と称され、宗紙の門下・牡丹花肖栢(連歌論書「肖栢口伝」注釈書「伊勢物語肖聞抄」など)の末に、里村紹巴(連歌論書「連歌至宝抄」など、子孫は江戸幕府の御用連歌師となる)の門の松永貞徳(勝熊)が江戸期の初め俳諧の方式を定めて、近世俳諧の祖となった。 
貞徳は京都功人で和歌を細川幽斎に連歌を紹巴に学び、古い連歌の仕来り(法則)を簡単なものに改め、俳諧(連句)の方向付けをした。
 もう少し連歌について解説をしておくと、連歌は和歌の上下両句を二人で詠むもので、応答歌二百の遊戯で、奈良朝以降平安期に盛行する。これを短連歌と云い、素堂はこの応答を好んで用いた。平安院政期以後この応答一首が遊戯的なものに移行し、短連歌を三十六句続ける「歌仙」や五十句の「五十韻」と呼び、百句・千句などの長連歌が流行し、室町斯に最盛期を迎えて連歌師も登場し、初期の遊戯的なものから、文学の一様式にと完成したものである。連句は俳諧の連句とも云い江戸期に盛行し、発句に付句をして長く続けるもので、連歌の作法を引き継ぎ色々と制約があり、後で触れるが例えば「恋の句」は三句まで五句以上統けることは禁など。種類には百韻・千句・歌仙(三十六句)のほか表・裏八句、三つ物など。聯句は漢詩の一つの体で、詩一句ずつ作って一編にまとめるもので、鎌倉・室町期に流行して詩連句とも云うが、江戸期の林門周辺で盛んで有ったのは俳連で、林羅山・春斎親子も貞徳に指導を受けていた。
 さて、諸書に解説される俳諧についての語句は、その趣味は通俗の滑稽に有り、貞徳については、故事や古歌を多用して言語上の縁や掛けを主とし、俳論書「後傘」(慶安四年刊、御傘とも)で規則として挙げているのは、
  1. 言を用いること
  2. 一句にその理あること
  3. 用附・同意の禁止の三点が主な処である。
〖解説〗
  1. 俳書は、和歌・連歌には用いない言葉の、漢語や俗語など一切を網羅すること。
  2. 理は、俳諧が謎のような難解なものより、有意義の物として文学的な物とする。
  3. 用付・同意の禁は、俳諧を変化に富むものにするためである。
に要約される。通俗を旨とする貞門は、文章も平易なものにすることに努めた。これも後には堅苦しい(古い)と感じる者も出た。西山宗因の提起した談林俳諧である。
** 貞門の俳諧 **
 『犬子集』(えのこしゅう)
夫(それ)俳諧は昔より人のもてあそぶ事世々にあまねし。されどもさかんにおこる事は、中比伊勢国山田の神官に荒木田守武、又山城国山崎に宗鑑とて、此道の好士侍り。
かゝる時よりぞ事あらたまりけるとなん。されば守武は独吟に千句をつらね、宗鑑は犬筑波をしるして、世々の形見とぞなし侍る。然るにこれらの人もなくなりて以後は、此道すたれたるにや、たえだえ云捨のみとぞ聞え侍る。しかはあれども、今此の御代やしまの外迄もをまり、国土安全にして民の竃もにぎはふ折からなれば、高き賤によらず諸道をおこす故に、俳諧も又さかんにしてけり。
然れば云捨のみに過ぎなん事も、且は其興をうしなふにやと、古人の例にまかせて愚筆を染めぬ。則ち、守武千句・犬筑波集右之両本に入たるはのぞき、其後之発句付句其様宜しく聞えけるを、身づから書集てある古老の名の披見に入、用捨の詞をくはへ、そゞろに此一集となし、是を犬子集と号侍る。抑々頃は寛永八年如月より此かた二とせあまりに国々所々より到来の句をもつて、同十年睦月半に記終ぬ。しかるを犬子集という事、犬筑波をしたひてぎきたる故也。凡発句の数は一千五百三十、付句はこれかれ千句に余る。誠に此道に心をよする事切なるによりて、今行末の人口ことには、神慮のとがめをも恐れざるに似たり。されども和光同塵は本より結縁の初とかや。しからば是非をもゆるし給ふべし。返々も世上のはゞかり其嘲は、ありそ海の浜の真砂の数しらずなん思ひしかども、よし本より愚なる身のおもひ出に、なにはの事をもかへりみず、只水茎に任せつゝ、種は尽せぬ言の葉の、ちりひぢ高き、足引の山鳥の尾のしだりをの、ながしくも書つゞけ侍る。
 
春発句
春立つやにはんめでたき門の松      徳元
福の神を今日のせ来るやむまの年     良徳
 年内立春の心を
今朝の春は鸚鵡(おうむ)返しかとりの年 正章
源氏ならで上下にいはふ若菜哉      親重
遠近へ香をやり梅の威かな        望一
玉章(たまづさ)の返事取りてや帰雁   重頼
  連歌師か一ふすは何人花の本       慶友
  三界も二階もてらす月見哉        玄札

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