山口素堂詩文・序文・跋文集・詞書 素堂46才 貞享四年(1687)『伊賀饒別』
芭蕉…故郷へ旅立つ。
素堂三絶外
絶芭蕉老人有故赴郷園 老人常謂他郷即吾郷
今猶莫作戯斯語 吾何不信斯御乎
因綴卑語三絶 以投頭陀
初冬念素堂山子
君去蕉庵莫止郷 故人多処即成郷
風□露宿豊労意 胸次素無何有郷
河辺楊梛無由折 早動翠條迎老身
隠月称陽又小春 小春又邦以陽春
挙盃皮裏陽春在 為唱陽関一曲春
芭蕉庵主しばらく故園にかへりなんとす。とめる人はたか
らを送り才ある人はことばを送るべきに、我此ニツにあづ
からず。むかしもろこしのさかひにかよひけるころ一ツの
頭巾を得たり。これをあたへてたからと才にかふるものな
らし。
もろこしのよしのの奥の頭巾哉
芭蕉…書簡
素堂餞別、一字二字忘れ候、言葉書なども御座候。失念い
たし候。江戸より書き揃へ、寄せ申すべき由申侯故、写し
参らず候。猶来年御意を得べく候。