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Channel: 北杜市ふるさと歴史文学資料館 山口素堂資料室
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日本一の健脚

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日本一の健脚

『歴史と旅』「特集日本史の謎50選」昭和53年6月号
 
健脚を誇った江戸時代の飛脚と窺在の陸上競技のトラック選手とはちょっと比較できないが、当時、三度飛脚というのは、京・江戸間(約百二十四里附=四百八十五キロ)を十日間で往来した。
種々あるその飛脚の中でも「時附け」という最至急便は、京・江戸間を昼夜兼行で、66~68時間で駈けたから、一時間に二里弱(七・八㌔)走行したことになる。『周遊奇談』に、尾張国中島部高野島村の百姓平蔵という九十歳の老爺が、寛政元年(1798)在所から京まで、往復にふつう七日かかるところを四日から五日で往来したとある。ところがおもしろいのは、この老爺は、五日の旅程なら、一日平均五合の飯を食べるとして、いちどに五日分の二升五合をたべ、不眠不休で五日間歩きつづけたという。この老爺は最高十日間、不眠不休で歩きつづけることができるといい、この距離は約百里に及ぶというが、これはいかに健脚の時附けの飛脚といえども、かなわないにちがいない。(近世風俗志)

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