甲斐国酒折宮碑 山縣昌貞撰
日本武尊既に東夷を平げ、還りて甲斐国酒折宮に次(やど)る。此れ其の旧址たり。祠有りて享祀懈らざる、今に千六百有余年なり。昌貞等、景仰の至りに勝へず。石を廟庭に樹て、謹んで之が銘を為る。嗚乎 尊の霊徳、千載の下
八挺の外、其の化を被らざる扉し。夫の庭績の著しきが若きは、則ち史籍に歴然たり。此に復序せず。銘に曰く、威徳の及長所、披撰せざるなし。施して新墾の章を作詠す。鏗鏘たる遺響、千載に芳を流す。允に文允に武、盛化洋々たり。緜々たる洪趾、寰宇以て康し。
宝暦十二年壬午夏四月 山県昌貞謹撰
加藤 翼拝書