甲斐を詠む
○ 稲妻 尹賢
秋の田のほのかにかすむ露のまも かけはとゝむるかひの稲妻
応永二十一年、『頓證寺法楽百首』
読人不知
○ 甲斐国よりのほりてをはりなるける人の許にありけるはかなき事によりて
なありそとおひいたしけれは
鳥のこのまたかひ乍あらませは をはと云物はおひ出さらまし
『金葉和歌集』第九 白河院院宜、源俊順撰。【成立-天治(1124)】
○ かひかねは山のすかたもうつもれて 雪のなかゝにかゝる白雲
『順徳院御集』
【成立-貞永元年(1232)詠作、嘉禎三年(1237)定 家の批評、隠岐の御鳥羽院合点を受けた】
○ 仲文(藤原)
筑摩江の鰹はみゆると命をそ かひつやりつるつるの郡に 『藤原仲文集』
仲文-生、延長元年(923)~没、正暦三年(992)
○ 甲斐へ下る人に 雅有(飛鳥井)
わかれるは袖こそぬるれ假初の 行かひちとは思ふものから
『隣女和歌集』 雅有-生、仁治二年(1241)~没、正安三年(1301)
○ かひ歌にあひてあはぬ心を
かひかねのかひもなく又あひも見す さやの中山さやは思ひし
『後葉和歌集』巻十九雑
○ 甲斐守にて国に侍けるころ朝光大将のもとに侍ける人のもとにいひつかはしける
源師綱朝臣
さすらふる身をいつこにと人とはゝ はるけき山のかひにとをいへ
【成立-室町前期末頃】『続詞花和歌集』巻十八 雑
○ 安嘉門院の甲斐、遠き所へまかる由申しおこせたりける返事
よしや唯ちかの鹽竈近かりし かひもなき身は遠ざかる共
前大納言為氏 『続後拾遺和歌集』
○ 冬十五首
雪しろくかひのしらねのさゝのおほ やとれる袖に宿る月影
○ 稲妻 尹賢
秋の田のほのかにかすむ露のまも かけはとゝむるかひの稲妻
応永二十一年、『頓證寺法楽百首』
読人不知
○ 甲斐国よりのほりてをはりなるける人の許にありけるはかなき事によりて
なありそとおひいたしけれは
鳥のこのまたかひ乍あらませは をはと云物はおひ出さらまし
『金葉和歌集』第九 白河院院宜、源俊順撰。【成立-天治(1124)】
○ かひかねは山のすかたもうつもれて 雪のなかゝにかゝる白雲
『順徳院御集』
【成立-貞永元年(1232)詠作、嘉禎三年(1237)定 家の批評、隠岐の御鳥羽院合点を受けた】
○ 仲文(藤原)
筑摩江の鰹はみゆると命をそ かひつやりつるつるの郡に 『藤原仲文集』
仲文-生、延長元年(923)~没、正暦三年(992)
○ 甲斐へ下る人に 雅有(飛鳥井)
わかれるは袖こそぬるれ假初の 行かひちとは思ふものから
『隣女和歌集』 雅有-生、仁治二年(1241)~没、正安三年(1301)
○ かひ歌にあひてあはぬ心を
かひかねのかひもなく又あひも見す さやの中山さやは思ひし
『後葉和歌集』巻十九雑
○ 甲斐守にて国に侍けるころ朝光大将のもとに侍ける人のもとにいひつかはしける
源師綱朝臣
さすらふる身をいつこにと人とはゝ はるけき山のかひにとをいへ
【成立-室町前期末頃】『続詞花和歌集』巻十八 雑
○ 安嘉門院の甲斐、遠き所へまかる由申しおこせたりける返事
よしや唯ちかの鹽竈近かりし かひもなき身は遠ざかる共
前大納言為氏 『続後拾遺和歌集』
○ 冬十五首
雪しろくかひのしらねのさゝのおほ やとれる袖に宿る月影