「芭蕉靈神記」 『金午獨語』所収。 鶯雅著
筑紫高良山國□神社のかたへに祠れるは、寛政辛亥(三年/1791)神祇伯従二位白河資延王に、何某がねき乞ひて、桃青靈神と號を申下したりしに、又天保癸卯(十四年)百五十年の周辰忌によりて、忝も二条殿より奉上なし給ひ、大明神の贈號を宇宙に普く及ぼし給ひ、益々和光いやましぬ。かくて維新の際、其靈を祀るに、恭も色の服を身にまとひ、烏帽子かびりぬかづくも、俳諧正風を起立せし其功績を深く敬ふのあまりあり。
- 『俳諧龍雀』雙雀氷壺(下総の人)著。
- 祖翁を何靈神と、近き頃いみじきことの如く思ひて、筆にものせ侍るを見たり。
- 祖翁は禅居士にてましくしかば、御心にはさらに嬉しとおもほし給はじ。同盟の人はゆめく申すまじきことになむ。
- 『舌切雀』下総国堺町、文哉著。
- 靈神は神靈なり。此神靈まつればかならず来格するなり。俳席にも、祖翁の像をかけ、香を捻りて、敬をいたす。若神なしと云はゞ、尊像をかくるに及ばず。…禅寺に達磨尊者又は梁の武帝をかくることは如何に。渠は頑なる神靈佛之道の神のごとのみ思ふや。云々 芭蕉の尊崇も至れり盡せりである。(萩原蘿月氏談)