来れるは何ごとぞや。なつかしの素堂、しかじかの夜復命すとや。我此人をしらず。それを唯しらず。まことに蓮を愛して周子に次ぎ、名を埋て炉下に帰ス。されば其情を同じうして其世を同じうせざることをうらむ。愁て今さらに其ことをしらんとすば、炭消えて灰となり、灰空しうして一炉寒く、残るものとては唐茶に酔し心のみなりけらし。猶その趣を携て一句を積とは、我をしてなかしむるか。汝におなじきものは何ぞや。葉は眠るに似てうつぶき、花は語るに似て笑。誰か是に向かひて昨日をしたひ、けふを啼ざらめやは。花散葉折て非風謡ひ芦花舞て池水秋なり。かれはその秋の冥々たるに入、我は偶然と口明き偶然と手を打て後あゝこゝに呈す。同じくはうけよ。
秋にして舞ふて入けり風の笠 謝道