素堂の事 元禄七年三月七日付 曾良宛て依水書簡
『芭蕉年譜大成』今栄蔵氏著 一部加筆
三月二日、依水ら四、五人同伴で上野の花見に赴き、酔余、「野々宮」「熊坂」を謡い、且つ句あり
明日の日をいかが暮さん花の山 芭蕉 (依水書簡)
上野の花見にまかりしに、人々幕打ちさわぎ、
物の音小歌の声さまざまなりける傍らの松陰を頼みて
四つ五器のそろはぬ花見心哉 芭蕉(『炭俵』)
三月七日
当日付の右依水書簡になお次の記事がある。
来ル十八日に翁も参られ候筈に御座候。
一席催し候間、
素堂子御誘ひなされ候ひて、
御出で下され候様に待ち奉り候」。
先日翁の庵に伺公仕り候ひて、
「奥の細道」の吟行一見仕り、
面白く候事に御座候。
翁も近日の内に上京の御沙汰御座候。