芭蕉死す
山口素堂 『素堂一曽良宛書簡』53才
芭蕉、大阪にて死去(十月十二日) 元禄七年(1694)
御無事ニ御務稜成候儀、
其後便も不承候、
野子儀妻ニ離申候而、
当月ハ忌中ニ而引籠罷有候。
一、
桃青大阪ニて死去の事、
定而御聞可被成候、
御同然ニ残念ニ存事ニ御座候。
嵐雪、桃隣二十五日ニ上り申され候、尤もニ奉存候。
二、
元来冬至の前の年忘れ素堂より始まると名立ち候。
内々ノミのむしみ忌明侯ハバ
其日相たため可申候其内も人の命ははかりがたく候へ共、
……云々
例の年忘れ、去年ハ嵐雪をかき、
今年は翁をかき申候、明年又たそや。
曽良雅丈 素堂