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Channel: 北杜市ふるさと歴史文学資料館 山口素堂資料室
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素堂消息 杉山杉風書簡 岸本八郎兵衛宛て

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杉山杉風書簡 岸本八郎兵衛宛て
『芭蕉と門人』山喜好氏著 昭和22年刊 弘文社
岸本八郎兵衛様    鯉屋市兵衛(杉山杉風)
      貴報
昨日貴札悉拝見候。如仰、先日はゆるゆると得貴意大慶奉存候。然らば短冊五冊被遣候。桃青ニも書かせ申候。乍去頃日持病気之由承候間、少々遅々可仕候へども、其段は御待可被下候。機嫌見合書セ可申候。其角儀ハ嵐雪斗存候。残リハ常々出会不申候。擧白儀ハ宗匠ニてハ無御座候。私共之様成商人ニて御座候。
匠ニて無之者ニも、名之高キ者ハ、素堂と申者ニて御座候。其外慥成者も無御座候。内々左様ニ心得可被遊候。其内貴面ニ可得御意候。
   正月十五日
 
 この一通は、短冊五枚を送り、諸名家の染筆を依頼した手紙の返事と見えるが、杉風は芭蕉・其角・嵐雪・擧白・素堂の五人の名を挙げている。この人々は杉風眤懇の者だったのに違いないが、同時に江戸に於ける芭蕉門の名家を五人選ぶとすれば、先ず人選はここらに落ち着くのだったろう。ただ擧白の名を聞くのは変わっているが、その身分が商人で宗匠でなかったことが知られるのは珍しいとすべく、又、素堂が依然として世に重んじられた様が明記されるのも嬉しい。芭蕉が当時持病気味だとあるのは、多分胃腸の方だろうが、それも猶子桃印の看病疲れに誘発されたのでもあったろう。

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