☆山口素堂と京都《大江山》
○オホエヤマ 西京区大技町背後の山、旧宮道丹波道の老坂峠がある。源頼光が勅命で山賊を退治した所。酒顚童子の伝説で名高い丹波の大江山は京と加佐両部の境に在り、歌枕の与謝の大山。頼光の鬼退治伝説は誤伝されて、これに因んだ遺跡が散在している。この難路の山道を越えて丹後宮津に至るために、酒顚童子の伝説が生じた様で、大江山に棲む酒顚童子(酒呑・酒天・酒典)は、都に出ては婦女子を略奪する鬼形の盗賊とされ、源頼光等に退治されたとされる伝説上の事、で謡曲「大江山」御伽草子「酒顚童子」浄瑠璃「酒呑童子」など、文芸上の素材にされている。
《素堂》
丹陽のはしだてにまかりける頃、大江山をこゆるとて
ふみもみぢ鬼すむあとや栗のいが
この句を詠じたのは老の坂か大江山の道なのか俄に決め難いが、後書きに和泉式部の娘の小式部の内侍の和歌を引いているから、丹波の大江山としておく。
大江山いく野の道は遠ければまだひみもみず天の橋立
素堂は「ふみもまだみず」としている。