ビールの副原料 米が?
佐伯誠一氏著『不思議いっぱい科学の本』おもしろ科学なるほど200話より
わが国の酒造法では「麦芽、ホップを原料として発酵させたもの」をビールとしている。だから、ビールといえば麦とポップの汁のように思われているが、実際はそうではない。
ビールのラベルを見ると原料名が表示されているが、そこに「麦芽、ホップ」と並んで「米、コーン」とある。「麦の酒」に米が入っているのである。
業界の話では「ビールに米やトウモロコシを入れるのは、いまや世界の常識」という。麦芽、ホップ、それに水だけでつくった〝純血ビール〟は西ドイツの国内用と、わが国ではエビス、メルツェンの二銘柄ぐらいなもの。他はみな副原料を使っている。
世界的には、トウモロコシが圧倒的に多いが、日本とアメリカでは米を盛んに使っている。これらの副原料を使うと淡白な味になり、独特のコクが出るのである。
わが国の酒税法では、副原料として、米、トウモロコシ、コーリャン、ジャガイモ、澱粉、糖類を使うことが許されているが、副原料の合計の重量は、麦芽の半分以下でなければならないと定められている。