一将功成りて万骨枯る
『人を動かす 名言・逸話 大集成』監修鈴木健二氏・篠沢秀夫氏
「万卒枯る」という場合もあるが、とにかく、一人の将軍が輝かしい戦果をあげ、それをもって大きな栄誉を得る裏には、多くの兵卒が戦場に屍をさらしているのだ、ということである。
とかく成功者は、その成功が自身の才覚と努力の結果であると思いこみがちなものだ。が、どんな場合でも、成功へのプロセスの中で、あるときは励まし、あるときは献身的なサポートをしてくれた人がいるもの。
だからもし、人が運よく成功者としての地位や名誉をつかんだなら、その陰でささえてくれた人のことをけっして、忘れてはいけないという事を肝に銘じるための言葉だと思いたい。
が、実際上この言葉が使われる場合は、ひとりの成功者が生まれる陰に、多数の者が犠牲を強いられ、倒れ、消えていったという歴史があることを示唆するために用いられるようである。
現代の社会で、全員が成功者になることは不可能であろう。が、成功者の陰にむなし〈枯れた者のいることも忘れたくはない。