マッカーサー元帥と金の皿
東堀一郎氏著『話のタネになる本』昭和49年刊 光文書院 一部加筆
日本占領軍の最高司令官だったマッカーサー元帥が、まだアメリカ陸軍大学の校長をしていたときの話。
ある日上院議員の視察団がやって来ました。マッカーサー校長は自慢で自分の部屋を見せ、その質素で飾り気のないのと、そこにある鉄製の野戦ベッドを指し、この堅いベッドに自分は毎晩やすみ、日曜日になってやっと家の柔かいべッドに寝るのだ、ときびしい公務の実際をほのめかします。そして視察団に午餐のもてなしをし、それにはとくに祝祭用にしか用いない、金の皿を用いました。食事が終って視察団が帰ったあと、大変なことがわかりました。金の皿が一枚紛失したのです。校長はてっきり視察団の一人が、いたずら半分に持ち帰ったものと思い、その一人一人に手紙を出しました。
すると一人の視察団員から、次のような皮肉な返事があり、マッカーサー校長は顔色を失いました。
「閣下、もし将軍が毎夜あなたの野戦ベッドで休まれるということが本当でしたら、金の皿をとっくにお見つけになったことでしょう。といいますのは、わたし自身それをあなたのベッドの毛布の下に入れておいたからです。