馬場美濃守信房 戦陣五つの信条
1、敵より味方のほうが勇ましく見える日は先を争って働くべし。味方が臆して見える日は独走して犬死にするか、敵の術中にはまるか、抜けがけの科を負うことになる。
2、場数を踏んだ味方の士を頼りにする。その人と親しみその人を手本としてその人に劣らない働きをする。
3、敵の冑が吹き返しがうつ向き、旗指しもの動かなければ豪勇と知るべし。逆に吹き返し仰向き、旗指しもの動く時は弱敵と思うべし。弱敵は躊躇わず突くべし。
4、敵の穂先が上がっている時は弱敵と知るべし。穂先が下がっている時は豪敵。長柄の槍そろう時は劣兵、長短不揃いの時は士卒合体、功名を遂げるなら不揃いの隊列をねらうべし。
5、敵愾心盛んな時は、ためらうことなく一拍子に突きかかるべし。
信房、十八歳にて初陣し、一生の武功数知れず、中にも我備に勝れしこと二十一度、諸軍に勝れしこと九度、兵を小幡虎盛、及び山本晴幸(勘助)に学び、軍旅の奥儀を究め、晴信を佐け、意に威を海内に震へり。