【高田屋 嘉兵衛】たかだや かへえ
『別冊歴史読本』江戸人物ものしり事典 伝記シリーズ 昭和54年 一部加筆
明和六年(一七六九)、淡路国津名都志村に生まれる。寛政四年(一七九二)、兵庫に出て、工楽松右衛門の御影屋に働き、その手腕と度胸をみこまれ、千七百石積みの大船辰悦丸の船頭に抜擢されて、蝦夷地との通商にのりだし、やがて独立して西国から北国の海運業に携った。
幕府が蝦夷地の開拓を進めると、享和元年(一八〇一)蝦夷地雇船頭を命ぜられ、択捉島の調査開発を進め、千島沿岸に漁業権をにぎり、兵庫を本拠として、海運業、漁業、造船などにわたって活躍して莫大な富を積んだ。文化九年(一八一二)、国後島沖でロシア船に揃えられたが、カムチャツカ長官ゴロウニンと外交交渉を行ない、日露両国の紛争を解決した。
文政七年(一八二四)、弟金兵衛に家業を譲り、この年病没した。