山口素堂追善 草庵五物『通天橋』雁山編(『甲府市誌』「資料編」巻四近世3)
一、高眠石 此灯籠出、甲斐根
かゝげて尽て鬚も怪我なし蛬 素丸
一、夢山 手水鉢 出、甲斐根
ばせを覚て今ぞまことに一檜杓
一、今日掛物 宗旦筆
中秋の辞世風雅の人目出ざらめや。往日元伯が書る今日庵のいほりをけづりて、けふといふ文字ばかりはむべつきなからずとて毎に弄ばれたるを
有明はけふの素堂の名残かな 郁文
一、三澤印硯 銘 竹洞子記(人見竹洞)
三潭印月硯 釈心越禅師及有一見 。竹洞子記(人見竹洞…幕府儒官)
端石圓而大不満尺。石面如 高山聳峙有其中自然淵 。
濃意味不似異石。所謂為 硯海有 三孔偶通墨矣。
謂下與 西湖景一三潭印月硯。尚 子於二記中詳焉。
雲起す硯の潭の秋の風 雁山
一、唐羽織
竹皮をもて衣にせんは蓑に似たるべし。素堂翁のからなく愛せしうへのきぬは、我が日のもとの袖笠をからず、野服に似てまた異なり。司馬君実はいにしへの裁縫をしたひしにもならはじ、只虎ふす野べの風ふせぎ、おもしろしと斗打はをり給ふなるべし。
洗ひうつ拍子ぬけてをから衣 湖十