付添いの女性に抱かれた赤子が巫女からお祓いを受けている。坊主頭のこの赤子、赤い宮参り着を着せられて、どうやらご機嫌である。
かたわらに被衣(かずき)を被って立っている女性が、この子の母親なのであろうか、右手をかざしている。また、兄とおぼしき少年が、守刀と守袋を脇にかかえてついてきている。
生まれて初めて、氏神に詣でることを宮参りといっている。宮参りは新しく氏子入りをした生児を、氏神に認めてもらい、その加護を祈るのが目的である。土地によっては社前で赤子をつねり、わざわざ泣かせて神に印象づけたり、赤子の額に赤く大の字を書いたりするところもあるという。
いまは生後三〇日ころにするのが多いが、古くは百日を過ぎてから行った
そうである。いずれにしても、子どもたちのすこやかな成長を祈る気持がこめられていたことは確かである。
なお、作者の祐信は上方浮世絵の前半期を代表する絵師であった。数多くの絵本類を上梓しており、後世の浮世絵師たちに多大な影響を与えている。