世界一の巨木
『対話の秘訣 はなしのタネになる本』東堀一郎氏編 光文書院 一部加筆松や杉の硬質には樹齢数百年に及ぶ巨木が多いものですが、アメリカのヨセミテ渓谷(国立公園)のセコイアや、レバノンのシーダー(セドルス)は、世界一をあらそう杉の巨木です。
シーダーは樹齢数百年、数十メートルの巨木にもなりノます。フェニキア(紀元前一五~一世紀)の昔から、船や宮殿の建材に使われましたが乱伐がつづいて、今日では千数百本しかないそうです。一九四六年レバノンが独立すると、このシーダーを国旗の図案に用い、残存のシーダーは聖木として伐採を禁じました。
ヨセミテ国立公園のセコイア(アメリカ杉)は、杉科の長寿巨木の王者で、海抜一八〇〇メートルから二四〇〇メートルの高地に生え、この中には樹齢三千年に達するものもあり、なかでもシャーマン将軍樹と呼ばれる巨木は、根本の直径が一〇・八メートルもあって、そのまん中を道路が通って車が往来しています。このセコイアはわが国にも大昔は東北地方に繁茂していたことは事実で、仙台地方からその化石が発見され、これは埋木と称して工芸材料に使われています。